【第一回】年功序列・終身雇用から成果報酬・職務別雇用に変わるのか?

従来、日本での雇用(就職)は、終身雇用で、新卒一括採用、年功序列賃金と併せて「日本型雇用(メンバーシップ雇用)」と呼ばれておりました。近年この日本型雇用、「終身雇用・年功序列は転換期を迎えている」言われておりますが、この「年功序列・終身雇用」と新卒一括採用、そして職務別雇用について考えてみたいと思います。

職務別雇用(JOB型雇用)とは

職務別雇用(JOB型雇用)とは、企業が人材を採用する際に職務、勤務地、時間などの条件を明確に決めて雇用契約を結び、雇用された側はその契約の範囲内のみで働くという雇用システムになります。
企業に雇われるのではなく、自分で仕事を見つけて働く働き方になります。
これは、フリーランスのシステムエンジニアや派遣社員、アルバイトなどがこれに当たります。

正社員の場合は企業側から一方的に解雇することはできませんので、給与など生活が安定しております。
では、職務別雇用の場合どのように変わるのでしょうか?

職務別雇用が注目されているのは

年功序列・終身雇用」においては、昇給給与は年々増加していくという前提があります。
また、企業は長期にわたり人材を育成することで自社の社風、やり方に適して人材を確保しております。
しかし、流動的な人材の確保や、優秀な若手人材など年功序列賃金制度においては、対価が見合わずに獲得しにくい面があります。

また、考え方も変わってきており、「社員は会社に貢献する」すなわち、企業に属している場合は、会社に対して労働力を提供し、その対価として評価・給与をもらっていると考えられておりました。
近年、就職氷河期世代、失われた世代など就職活動で苦労した経験のある人やそんな先輩を見て育った若手の人材、日本の賃が上がらないことなど、ネガティブ要素を体験した世代の人にとっては、会社に対しての労働力を提供することを良いと思わない傾向があります。
職務別雇用は、会社に対してではなく職務に対して労働力を提供しようという働き方なのです。

職務別雇用(JOB型雇用)のメリット

職務別雇用は、スキルを条件に採用するため即戦力の人材を集めやすい傾向にあります。
また、賃金に関しても年功序列の賃金体系と異なり、スキル、職務の遂行能力に応じて賃金・報酬を支払うため、専門性の高い社員の雇用・育成に非常に適しております。
メンバーシップ雇用では、職務遂行能力、スキルに応じた賃金の設定が、年功序列などの要因で難しい点ではありました。
ですが、職務別雇用においては、個人の職務遂行能力、職務での必要なスキルに応じて賃金設定ができるため、雇用における競争力も高められます。

職務別雇用(JOB型雇用)のデメリット

一番に心配するべき点は、職務別雇用にて雇用した社員の帰属意識ではないでしょうか?
会社に対してではなく、職務に対して労働力を提供する社員の場合、自分のタスクが優先されることであり、社内、またはチーム内で相互に助け合うという互助意識やエンゲージメントが高まりにくく、チームワークの醸成が難しくなるという問題もあります。
メンバーシップ雇用とは違い、「あらかじめ指定した職務以外への転勤や配置転換ができない」という制限があります。
上記により、社内の業務をジョブローテーションにより把握し全ての業務を一通り学ばせ、社内の問題を横断的にとらえる部門統括管理、更に全社内外、多角的な視点が必要となる経営判断を養い将来のゼネラリスト候補育成が非常に困難になっております。
他にも、引き抜きによる人的損害など、職務遂行能力が高い社員ほどリスクは高まります。

日本型雇用(メンバーシップ雇用)はなくなるのか?

「少子化が進んだ今、若い人の人口が減り、売り手市場になった。学歴が持つパワーは、就職戦線でかつてほどはなくなってきている。これからはなおさらだろう。
2040年には、18歳の人口は今と比べて8割にまで縮む。そもそも、企業側の、学歴に基づいて大量採用して、そこから優秀なヤツが育てばいいという旧来型の採用モデルは現在でも破綻しつつある。学歴があればどうにかなる社会は、完全に過去のものになる」

引用:元日本マイクロソフト代表取締役社長成毛眞『2040年の未来予測』より

これは、就職のために「○○大卒」と記載したいために大学へ進む人が増えたことにも一因あります。
そして入社後は「新卒」という一括りでまとめられるので、結果として「○○大卒」は、就職の学歴フィルターのためだけに必要なだけになってしまっております。

日本とは比較にならないくらい、学歴偏重社会のアメリカでも、

Skills, not schools. Performance, not pedigree. Results, not requirements.

「学校ではなくスキル。血統ではなくパフォーマンス。要件ではなく結果」
と、スキルベースでの採用が増加しつつありますが、結論から言えば「なくならない」と見ております。
上記のデメリットで述べた、「ゼネラリスト候補」となる人材の獲得にはどうしても今の日本では、必要と考えており、新卒採用を総合職というポテンシャル採用は必要と思います。
新卒採用時には、学歴によるフィルタリング、「地アタマの良さ」「素直さ」「伸びしろ」などを基準に面接・作文など選考されるので、まだまだ必要であると思いますが、職務において、総合職の割合は減少していくと思います。
そのため、新卒(総合職)採用が減り、最初からスキルを揃えた人材採用が増えると思っております。

まとめ

日本では長年、新卒一括採用と年功序列賃金制度を柱とした雇用システムが続いてきました。終身雇用制による安定的な労働力の確保と、熟練した労働者への高い給与の支払いを可能にするためです。
ところが、少子高齢化が進み労働人口の減少が見込まれることから、終身雇用制度が崩壊しつつあるといわれています。また、転職を繰り返すことでキャリアアップを図る人も増える中、企業の側でも優秀な人材を確保しやすくするためにも、終身雇用ではなく職務別の雇用に切り替えた方がいいのではないかという意見も出てきました。
ただ、まだ試行錯誤の段階です。


COQUELICOT編集部

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